粋を探求するー

粋な振る舞い、粋な着こなし、粋な言葉、粋な生き方
2015-03-31

「日本酒との大人な付き合い方」 菊水酒造 高澤大介

nihonshu
※このコラムは『いき』(粋人会議編・2010年発刊)から抜粋したものです。

少なく作って幻にして、希少価値で売ろうとするのはおかしいっていう考え方なわけですよ。お酒は特定の人のものではない。例えばお金を持っている人たちだとか、あるいはマニアの人たちだとか、そういった人たちだけのものでは
なくって、みんなのものなんです。みんなが楽しみたい、くつろぎたい、なごみたいっていうときに誰もが手に入るものじゃなかったらいかんだろうと。だから名ではなく、実で戦おうじゃないか、媚びるのはやめようという精神が、うちにはずっと受け継がれてきたんです。

よくよく考えてみると、いま心底楽しいって思う時ってあまりないですよね。
楽しいっていうことを憚らせるような雰囲気がある気がします。そういう雰囲気に風穴を開けたい。お酒ってそもそも楽しいものなんですよ。ただ飲んで、管を巻くというものではなく、決して後ろばかりを見るものではない。ポジティブなものなんです。そういったポリシーでお酒と付き合いながら生きてる方って、僕は多いと思うんですよね。

社会の根本って何かというと、人間一人で生きているわけじゃなくて、必ずいろんな関わり合いがあるわけで、そこで大事にしなきゃいけないことは、それが初対面の人であれ、友人であれ、「敬意」だと思うんですよね。
してはいけないことはしない、しなくてはいけないことは断じてするのが、かっこいい大人だと思います。それは損得ではなく品格、つまり“人となり”の問題。譲れないものだと思います。

高澤 大介 たかさわ だいすけ
菊水酒造株式会社 代表取締役社長、五九年新潟生まれ。東京農業大学農学部卒業後、株式会社伊勢丹に入社。二年一〇カ月の勤務を経て八五年に菊水酒造株式会社に入社。同社専務取締役を経て、〇一年代表取締役社長に就任し、創業一三八年の日本酒蔵元・五代目を継承。現在に至る。趣味は、風景写真の撮影。